サッドヴァケイション

青山真治監督の新作『サッドヴァケイション
http://www.sadvacation.jp/

この映画のテーマは「女性」、とりわけ「母性」なのだろう。
映画紹介なんかでも「母性」という言葉が多く使われている。
そんななかでこの映画を見事に言い表していると思えるのが、
「たちはだかる母性」というフレーズ。

「女性」「母性」というものでキャラクターを作ると、
多くの場合は「優しさ」「温かさ」というところに落ち着く。
しかしこの映画の描かんとする「母性」はそんな生易しいものではない。
憎しみも、復讐心も、「善き倫理」も、
全てを貪欲に飲み込んで自らの子(血?)を残そうとする、
そんな「底知れなさ、恐ろしさとしての母性」。

その恐ろしさをも含めて「完成」された女性と、
まだ若く可愛らしく危うく儚く、そして「善き人」ながらも、
その恐ろしさを潜勢力として秘めた女性たち。

まあ、「男は女には結局かなわんのよ」という
飲み屋でオジさんがもらす自嘲気味のセリフを
見事に映像化した、と言えなくもない。
あの見事なラストシーンなんかはまさにそうだ。

まあ、時間があればぜひ。
音楽もグッドです。