話題作たち

そのようなものを最近いくつか観た。


フラガール』はとても評価が高いようですね。
個人的にはくだらなさ過ぎて悲しいぐらいでした。
古今東西の「がんばるモノ」映画を切り貼りし、
テレビ的な笑いと泣きをちりばめた映画。
初めから終わりまで「どっかで観た」映画。

そんな映画が堂々と公開されていることも悲しいし、
映画館を満たした観客がそれを観て
泣いたり笑ったりしてしまっているのも悲しい。
まあ俺もそこにいたんですけど。

蒼井優だけがこの映画の中で光っておりました。



あとは『父親たちの星条旗』。
れはどうしても見ねばと勇んで行ってまいりました。
こちらは大変すばらしい出来。

はからずも「英雄 Hero」として祭り上げられてしまった若者たちの物語。
メッセージをやや単純にまとめれば、
「戦争を遂行する際には常に英雄が作り出される。
 しかし英雄なんてほんとはいないのだ。」
ということになるのだろう。
これは現在のアメリカにも日本にもそのまま当てはまる。
WTCの「勇者」しかり、「英霊」しかり。

しかしこの映画の魅力は、
その「英雄」の虚構性を単純に否定してしまわない点。
虚構によって振り回され、損なわれてしまう人間もいれば、
虚構によって救済される人間もいる。
いずれも人間というヨワイ生き物の悲しさ。
そこまで目を配って、しかも映像化してしまえるのが
やはりイーストウッドのすごさだ。

なにより圧巻なのが冒頭。
「英雄という虚構」、このテーマを言葉抜きで、
一つの映像シークエンスで表現してしまう。
ここには痺れた。
これは映画にしか出来ん。

ああ、満足した。
第二部はどのようなものになるんだろう。